6/春か、遥か。
先日、実家から引っ越しまして、その引っ越しの時に見つけた大切なもの。
ASIAN KUNG-FU GENERATIONのライブドキュメントブック!
私は第二弾目の「春か、遥か。」をリアルタイムで買ったから今からそれは十年前の話。
それぞれツアーやワンマンライブを追ったもので、文章だけじゃなくてライブの写真、ステージ裏のオフショットも載っている。
ライブの写真を撮りたいとかそんなことを全く思っていない時にこれを読んでるんだけど、、、
正直最初にこれを読んだ時、”あれ?ここに載ってる写真かっこよくなくない?”って思った。
実は機材のこととか全く知らないし、ましてフィルムカメラなんて使ったことない。だし、あんまり大きい会場のライブにも行くことはなかった。だから2007年付近の機材面だったりその当時のステージの設営環境だったり使われてる照明もわからないんだけど、、、。
だから、仮に、メジャーデビューしてツアーの本を発行できる程の売り出し方をされているバンドだったとしても、ライブの環境は良くなかったかもしれない。
だとしても、その本に載ってるライブ写真はかっこいいと思えなかった。
単純に表情が良くなかったり、赤色の照明で顔も何も潰れて見えなくなっていたり、ピントがよくわからないところにあっていたり、被写体ブレも手ブレもしてるから何が何だか分からなかったり、、、
カメラを買って、写真を撮り始めた時に改めてそれを読み返してみた感想は ”なにが良いものなのかわからない” だったな。
どうしても、
”ピントが目にあってないし、手ブレしてるからメインのショットとしては使えない”
とか、
”バスドラのペダルを面白いと思って撮ったとしても何に使うの?誰が喜ぶの?他の写真もそういうテイストで揃えないと浮いてしまう。”
とかっていう風に教えられてきたし、自分も納得してそれを遂行してきた。
だからこの本に載ってる写真は基本理解できなかったし受け入れられなかった。
今読み返しても同じ感想を抱く。
、、、と思ってたんだけど、自分でも予想外。
ピントの甘い、めちゃくちゃブレてる写真、ギターを弾いてる時の手元の写真、変な顔でアイスを食べてる写真、アンプケースに貼ってあるガムテープの写真、、、
全て、最高な写真だと思った。
プロモーションということを一旦置いておいたら、、、
例えば「春か、遥か。」の2006-2007年「The start of a new season」っていうツアーでは250人キャパの下北沢SHELTERから幕張メッセまで。デビューして数年しか経っていないバンド。
そう思うと、それらの写真はバンドの葛藤や未熟さ、荒削りで手探りな感じがすごく出ていると思うし、何より感じたのは”その瞬間をカメラマンとしてチームの一員として楽しんでいる感覚”。
私は、私たちは、すごく頭でっかちに考えすぎていたのかもしれないなあ。
自分以外の誰かと関わるものだから、ただ楽しむだけではいけないのかもしれない。いろいろ考えなければいけないことはそりゃたくさんあるけど。
でも誰の評価も気にせず、自分の心の動いたものを好きなように撮る、その空間を楽しむ、っていう単純なことを、私はずっとしてこれなかった気がする。
ツアー中ずっと使っているエフェクターや、ギターとベースが立てかけてある空間
いつでも撮れるからこの日は撮らない、ではない。本当の意味でその瞬間は一瞬しかないから、いつもと同じ様に見えてもその時撮りたいと思ったら撮ってもいいんじゃないかと思った。
ただし、その写真を誇らしく思えるなら。